2022/04/24
毎日米を研いでいて、いつも思う。
「この米のとぎ汁で農染処理できたらな〜」と。
そもそも農染処理とは?
豆乳や牛乳は豆汁(大豆を水と一緒にミキサーにかけて濾した液)の代用として、およそ水と1:1の割合に薄めて農染処理に使われる。
これをタンパク質処理という。
一方、染物材料店で売られている農染材(seiwaのディスポンや藍熊さんのカラーアップなど)はカオチン化という処理によって農染処理されます。
では、米のとぎ汁とは何なのか?
米のとぎ汁の正体は米ぬかである。
この米ぬかの成分に、一応タンパク質が8%(米ぬか粉末100g中、8g)含まれている。
米のとぎ汁は米一合のとぎ汁で、米ぬか大さじ1杯分の成分になるようだ。
米ぬか大さじ1杯はおよそ10gなので、米1合のとぎ汁に含まれるタンパク質は0.8gになる。
一方、豆乳(成分無調整)100mlに対してタンパク質は4.2g含まれるようだ。
つまり、やはりタンパク質の濃度としては2〜4倍、豆乳の方が高い事になる。
これは、豆乳の薄め具合や研ぐ米の量にも寄るけど…。
なんだかややこしくなってきたので実際に実験してみることにした。
米のとぎ汁を含めた農染処理の実験
今回は頒布の切れ端があったのでこれで実験します。
①ディスポン 1リットルに4mlで処理して洗乾燥
②米のとぎ汁 2合分のとぎ汁に浸けて乾燥
③牛乳 2倍に水で薄めたものに浸して乾燥
④頒布そのまま
いずれも浸して処理したものは20分浸しています。
これを今回は
杉+アルカリ抽出 して、3週間ほど冷暗所で熟成させた駅に浸してみます。
みんなまとめて30分ほど浸し染めします。
結果
やはりディスポンが1番濃く染まりました。
意外にも米のとぎ汁がところどころディスポンよりも濃く困っています。
これはおそらく、米のとぎ汁の中の米ぬかが時間と共に沈殿した場所と、沈殿していない場所とでムラができてしまったからでしょう。
だとすると、米のとぎ汁の上澄み液を捨ててヌカの多い部分だけで処理したりすれば結構濃いめの農染処理ができるのでは…?
もしくは、もう米のとぎ汁に染めたい布ぶち込んで煮込んでしまったらどうだろうか?
そもそも、この染めムラを活かした柄の布を仕上げてみては…?
これから改良の余地がありますね!
また後日色々実験してみる予定です。
おまけ
翌日、それぞれ半分づつ鉄媒染してみました。
日が経つとディスポンの濃さがより際立ちます。
牛乳は2倍に薄めたからか、あんまり農染処理の効果が弱いなぁと思っていましたが、鉄媒染するとさすがに「そのまま」よりは効果が出ましたね。
それにしても、米のとぎ汁の癖は強い。
この風合い、ぜひ活かしてみたいなぁ。